はじめに
2025年、多くの家庭で光熱費の見直しが重要なテーマとなっています。特にガス代は、日々の生活に欠かせないエネルギーコストとして、家計に大きな影響を与える項目の一つです。
4人家族のご家庭では、給湯、調理、場合によっては暖房にもガスを使用するため、その使用量は決して少なくありません。「うちのガス代は高いのかな？」「もっと節約できる方法はないだろうか？」そんな疑問をお持ちの方も多いのではないでしょうか。
本記事では、2025年の最新データをもとに、4人家族の平均的なガス代から季節による変動、都市ガスとプロパンガスの違い、そして今日から実践できる具体的な節約方法まで、徹底的に解説いたします。この記事を読めば、ご家庭のガス代が適正かどうかを判断でき、効果的な節約策を見つけることができるはずです。
4人家族のガス代平均額【2025年最新データ】
年間平均額
総務省統計局が発表した2024年度の「家計調査報告」によると、4人家族の1ヶ月あたりの平均ガス代は約5,015円です。年間に換算すると約60,180円となり、決して無視できない金額と言えるでしょう。
興味深いのは、2025年9月のデータでは平均ガス代が2,959円と前月比で338円（10.25%）、前年比で187円（5.94%）減少していることです。これは原料費の変動や季節要因が影響していると考えられます。
季節別のガス代変動
ガス代は季節によって大きく変動します。2024年から2025年にかけてのデータを見てみましょう。
- 春（2024年4～6月）：約5,846円
- 夏（2024年7～9月）：約3,604円
- 秋（2024年10～12月）：約4,297円
- 冬（2025年1～3月）：約7,146円
このデータから分かるように、冬場のガス代は夏場の約2倍にもなります。冬が最も高くなる理由は明確です。水温が低いため給湯により多くのエネルギーが必要となることに加え、お風呂の追い焚き頻度が増えること、そしてガスファンヒーターなどの暖房機器を使用するご家庭も多いためです。
逆に夏場は給湯に必要なエネルギーが少なく、暖房も不要なため、年間で最も安くなる傾向にあります。
他の世帯人数との比較
世帯人数別のガス代を比較すると、興味深い傾向が見えてきます。
- 2人家族：約4,726円
- 3人家族：約5,121円
- 4人家族：約5,015円
- 5人家族：約4,284円
実は、4人家族のガス代は3人家族よりもわずかに低くなっているのです。これは一見不思議に思えますが、いくつかの理由が考えられます。4人家族では生活時間帯が重なりやすく、お風呂の追い焚きが少なくて済むこと、調理も一度にまとめて行うことで効率が良くなることなどが影響していると推測されます。つまり、世帯人数が増えても、ガス代は単純に比例して増えるわけではなく、使い方の工夫次第で効率化できる余地があるということです。
都市ガスとプロパンガスの料金差
基本的な違い
ガスには大きく分けて「都市ガス」と「プロパンガス（LPガス）」の2種類があります。
都市ガスは、地下に埋設されたガス管を通じて供給される方式で、主に都市部で利用されています。料金は公共料金として一定の規制があり、透明性が高いのが特徴です。
一方、プロパンガスは、ガスボンベを各家庭に配送する方式で、郊外や地方で多く利用されています。こちらは自由料金制のため、ガス会社によって価格が大きく異なります。
料金比較（4人家族の場合）
4人家族の月間平均使用量を基に比較すると、料金差は非常に大きいことが分かります。
- 都市ガス：約2,500～3,500円/月
- プロパンガス：約5,000～9,000円/月
同じ使用量でも、プロパンガスは都市ガスの1.7倍から2倍程度高くなるケースが一般的です。10m³使用時の比較では、都市ガスが約2,500円に対し、プロパンガスは約9,000円にもなることがあります。
この価格差の理由は、供給システムの違いにあります。プロパンガスは、ガスボンベの輸送や配送、交換作業などに人件費がかかります。また、各家庭にガスボンベや設備を設置・メンテナンスするコストも料金に反映されています。一方、都市ガスは一度配管を敷設すれば、その後の供給コストが比較的低く抑えられるのです。
地域による違い
プロパンガスの適正価格は地域によっても異なります。一般社団法人プロパンガス料金消費者協会によると、10m³使用時の適正価格は以下の通りです。
- 関東地域：約4,950円
- 東北地域：約5,720円
- 中部地域：約5,500円
- 近畿地域：約6,380円
- 甲信越地域：約5,720円
- 北陸地域：約6,710円
寒冷地ほど高くなる傾向があり、これは配送コストや設備の維持管理コストが影響していると考えられます。プロパンガスをご利用のご家庭は、お住まいの地域の適正価格と比較してみることをお勧めします。
ガス代が高くなる主な原因
ガス代が予想以上に高くなってしまう原因を理解することが、節約への第一歩です。4人家族でよく見られる原因を見ていきましょう。
まず最も大きいのが給湯器の使用頻度です。4人家族では毎日お風呂にお湯を張り、それぞれがシャワーを使用します。特に冬場は追い焚きの回数も増えるため、給湯関連のガス使用量が全体の7割以上を占めることも珍しくありません。
次にキッチンでの調理時間も重要です。朝食、昼食、夕食と1日3食を自宅で作る場合、コンロの使用時間は相当なものになります。特に煮込み料理や鍋料理など、長時間火にかける調理が多いご家庭では、その分ガス代も高くなります。
ガス暖房機器の使用も見逃せません。ガスファンヒーターやガス床暖房は快適ですが、使用時間が長ければ当然ガス代も跳ね上がります。
また、給湯温度の設定も影響します。必要以上に高い温度に設定していると、水を温めるために余分なエネルギーを消費してしまいます。
4人家族特有の原因として、家族の生活時間帯のズレがあります。それぞれが別々の時間に入浴すると、その都度追い焚きが必要になり、ガス代が膨らみます。
さらに、給湯器の経年劣化も無視できません。10年以上使用している給湯器は効率が低下している可能性が高く、同じお湯を沸かすにも余分なガスを消費している可能性があります。
最後に季節要因です。冬場は水道水の温度が夏場より10度以上低くなるため、同じ温度のお湯を作るにも、より多くのエネルギーが必要になるのです。
今日から実践できる！ガス代節約術10選
それでは、具体的な節約方法をご紹介します。どれも今日から実践できる方法ばかりです。
給湯・入浴編
①シャワー時間を1分短縮する
シャワーの使用時間を家族全員が1分ずつ短縮するだけで、年間約2,070円の節約になります。45℃のお湯を流す時間を1分間短縮すると、年間で12.78m³のガスを節約できるというデータがあります。タイマーを使って意識的に時間を測ってみるのも良いでしょう。
②追い焚きを減らす工夫をする
家族が続けて入浴することで、追い焚きの回数を減らせます。「お風呂が沸いたよ」という声がけをしっかり行い、なるべく時間を空けずに入るようにしましょう。保温シートやお風呂の蓋をしっかり閉めることで、お湯の温度低下を防ぐことも効果的です。
③給湯温度を1～2度下げる
給湯器の設定温度を見直してみましょう。多くの家庭では42～43度に設定していますが、40～41度でも十分快適に入浴できます。たった1～2度の差ですが、積み重なると大きな節約効果があります。
④節水シャワーヘッドを活用する
最近の節水シャワーヘッドは性能が向上しており、水量を30～50%削減しながらも、快適な使用感を保てます。水の使用量が減れば、それを温めるためのガス使用量も減るため、一石二鳥の効果があります。
調理編
⑤鍋底から火がはみ出さないように調整する
炎が鍋底からはみ出すと、その熱は無駄になってしまいます。鍋の大きさに合わせて火力を調整し、炎の先端が鍋底に当たる程度にすることで、効率よく加熱できます。
⑥落とし蓋や圧力鍋で調理時間を短縮する
落とし蓋を使うことで熱を効率的に食材に伝えることができ、調理時間を短縮できます。圧力鍋を活用すれば、煮込み料理の時間を大幅に短縮でき、ガス代を20～30%削減できることもあります。
⑦電子レンジとの使い分けを工夫する
野菜の下茹でや食材の温めなどは、電子レンジの方が効率的な場合があります。少量の調理や再加熱には電子レンジ、大量の調理にはガスコンロというように、用途に応じて使い分けましょう。
⑧同時調理で効率アップ
大きな鍋で複数の食材を一度に茹でたり、魚焼きグリルでトーストや野菜も一緒に焼いたりと、同時調理を心がけることで、トータルのガス使用時間を減らせます。
設備・機器編
⑨エコジョーズへの切り替えを検討する
給湯器の交換時期が来ているなら、高効率給湯器「エコジョーズ」への切り替えを検討してみましょう。従来型に比べてガス消費量を約12～15%削減でき、4人家族の場合、年間約14,000～17,000円のガス代節約が期待できます。初期投資は必要ですが、長期的に見れば十分に回収できる投資と言えるでしょう。
⑩給湯器の電源をこまめにオフにする
使用後は給湯器の電源をオフにする習慣をつけましょう。待機電力の削減により、年間約378円の節約になります。金額は小さく感じるかもしれませんが、積み重ねることで確実に効果があります。
契約・プラン見直し編
ここまで使用方法の工夫を紹介しましたが、そもそものガス会社や契約プランを見直すことも重要です。
特にプロパンガスをご利用の場合、ガス会社によって料金が大きく異なります。現在の料金が地域の適正価格より高い場合は、ガス会社の変更を検討する価値があります。最近では一括見積もりサービスも充実しており、簡単に比較検討できるようになっています。
また、電力自由化に伴い、電気とガスのセット割プランを提供する事業者も増えています。両方をまとめることで、月数百円の割引が受けられることもありますので、一度確認してみることをお勧めします。
2025年のガス料金動向と今後の見通し
2025年のガス料金は、原料費調整制度に基づいて毎月変動しています。この制度は、原油やLNG（液化天然ガス）などの原料価格の変動を、一定のルールに基づいてガス料金に反映させるものです。
2025年10月には、一部のガス会社で平均的な使用量のご家庭で月額25円程度の値上げが行われました。これは国際的なエネルギー価格の上昇が影響しています。
注目すべきは、政府による電気・ガス料金負担軽減支援事業が2025年9月で終了したことです。この補助金により、多くの家庭でガス代が軽減されていましたが、終了後は実質的な負担増となっています。
今後の見通しとしては、国際情勢や為替レート、原油価格などの影響を受けて、ガス料金は引き続き変動していくことが予想されます。中長期的には、カーボンニュートラルに向けた取り組みの中で、エネルギー構造自体が変化していく可能性もあります。
このような状況だからこそ、家庭でできる節約努力と、定期的な契約内容の見直しが、これまで以上に重要になっているのです。
まとめ
4人家族の平均ガス代は月約5,015円、年間では約60,000円にもなります。季節によって大きく変動し、特に冬場は夏場の約2倍になることも理解しておく必要があります。
都市ガスとプロパンガスでは料金に大きな差があり、プロパンガスの場合は会社選びが特に重要です。ご自宅のガス代が平均より高い場合は、まず契約内容を確認してみましょう。
日々の小さな工夫の積み重ねで、年間数万円の節約が可能です。シャワー時間の短縮、追い焚きの削減、調理方法の工夫など、今日から実践できることから始めてみてください。また、給湯器の更新時期にはエコジョーズなどの高効率機器への切り替えも検討する価値があります。
ガス代は毎月必ず発生する固定費だからこそ、一度見直せば継続的に効果が得られます。まずは今日から実践できる節約術を1つ、始めてみてはいかがでしょうか。小さな一歩が、家計の大きな改善につながるはずです。
