給湯器が突然動かなくなった時、「故障かも」と慌てて修理を依頼する前に、自分で安全に確認できるチェック項目やトラブルの原因を分かりやすく解説します。この記事を読むことで、よくある症状や各メーカー(ノーリツ、リンナイ、パロマなど)のエラー表示への適切な対処法、修理・交換すべきタイミングまで網羅的に理解できます。まずは落ち着いて確認、無駄な出費やトラブル予防につなげましょう。
給湯器が動かない時によくある症状
給湯器が正常に作動しない場合、いくつかの典型的な現象が現れます。突然お湯が出なくなった場合や、リモコンの画面が暗い・点滅する場合には、故障の前兆や外部要因が影響していることが考えられるため、原因を切り分けるためにも最初に下記の症状を確認しましょう。
リモコンの電源が入らない
給湯器リモコンがまったく反応しなかったり、画面が消灯したままになる場合、電源供給やリモコン自体の不具合、主装置の異常が疑われます。特に表示部が完全に消えている場合は、給湯器本体への電力供給が遮断されている、またはブレーカーが落ちているケースも多いです。設置場所が屋外の場合、コンセント抜けやブレーカーのトラブルが原因になることもあります。
お湯が出ない、温度が上がらない
お湯の蛇口を開いても水しか出なかったり、設定温度まで加熱されない現象は、ガス遮断・給水トラブル・水道管の凍結・機械内部の故障など多岐にわたる原因が想定されます。冬場でよく見られるのが水道管や給湯器内部の凍結で、一時的なものもあれば重篤な故障が隠れている場合もあります。特に複数の蛇口で同じ症状が出る場合や、ガスコンロも同時に使えない場合は、ガスの供給問題も疑われます。
異常な点滅やエラーコード表示が見られる
リモコンの液晶や給湯器本体のインジケーターにエラーコードや異常な点滅が表示されることがあります。主要メーカー(ノーリツ・リンナイ・パロマなど)のリモコンには自己診断機能が搭載されており、「11」「14」「90」などの2桁・3桁の番号を示して異常箇所を知らせます。また、オレンジ色・赤色など普段と異なる色でランプが点滅する場合は、誤作動や安全装置の作動に起因するものも多いです。こういった表示が出た場合は、取扱説明書やメーカー公式サイトでのチェックが有効です。
症状 | 考えられる主な原因例 | 即時確認のポイント |
---|---|---|
リモコンの電源が入らない | 電源プラグ抜け、ブレーカー落ち、停電、リモコン自体の故障 | コンセント、ブレーカー動作確認 |
お湯が出ない・温度が上がらない | ガス元栓・メーター閉塞、水道凍結、給水不足、内部の故障 | ガスと水道の元栓、他蛇口の動作確認 |
エラーコードや異常点滅 | メーカー指定部品の劣化・故障、誤作動、過熱・安全装置作動 | 表示内容を記録し、取扱説明書を参照 |
自己判断で可能な初期チェック一覧
給湯器が動かない、またはお湯が出ない場合でも、必ずしも故障とは限りません。まずはご自身で確認できる初期チェック項目を実施しましょう。以下のような基本的なポイントを確認することで、トラブルの早期解決や無駄な修理依頼を防ぐことができます。
ガスの元栓やメーターの確認
給湯器でお湯が出ない場合、最優先で「ガスの供給が止まっていないか」を確認しましょう。特に都市ガス、プロパンガス(LPガス)を利用している場合は、以下の点に注意が必要です。
確認項目 | ポイント |
---|---|
ガスの元栓(バルブ) | 蛇口のような元栓が「開」になっているかをチェックします。 |
ガスメーターの安全装置 | 地震や大量のガス使用後、安全装置が作動しガスが止まることがあります。メーターの表示ランプ点滅や「遮断」の文字を確認し、必要なら復帰ボタンを押してください(取扱説明書を参照)。 |
他のガス機器 | コンロやファンヒーターなど他のガス製品が使えるかのチェックも有効です。 |
給湯器本体の電源プラグとブレーカーを確かめる
給湯器やリモコンの動作不良は電源トラブルが原因の場合も多いため、次のポイントを確認しましょう。
- 給湯器本体の電源プラグが確実にコンセントに差し込まれているか。
- 分電盤(ブレーカー)が落ちていないかを確認。漏電遮断器が作動していると通電しません。
場合によってはプラグの抜き差しや、ブレーカーの入り切りでリセットされ正常動作するケースもあります。
水道の元栓と凍結の有無を確認
寒冷地や冬場では、給湯器の故障ではなく水道配管の凍結や水道の元栓が閉じていることが原因となっている場合もあります。
- 水道の元栓が「開」になっているか、他の蛇口で水が出るかを確認。
- 給湯器や配管が異常に冷たくないか、霜がついていないかを確認。
- 凍結の疑いがある場合は、自然解凍を待つのが最も安全です。無理に熱湯などをかけて解かそうとすると、機器や配管を損傷する恐れがあります。
リモコンのリセット操作
給湯器のリモコンの動作不良や表示の乱れ、無応答の際には、リセット操作が有効な場合があります。
- リモコンに「運転/切」などのボタンがある場合は一度スイッチを切ってしばらく待ち、再度入れ直す方法を試してください。
- 機種によってはリモコンの「リセット」ボタンや、「上下キー」を同時押しする初期化操作がある場合も。取扱説明書の手順を参考に。
- 改善しない場合は、本体の電源プラグを一度抜き、1分ほど待ってから差し込み直すと、内部のエラーが解消されることもあります。
プロパンガスの場合の残量確認
プロパンガス(LPガス)は残量がゼロになると突然供給がストップし、給湯器がまったく使えなくなります。
- ガスボンベの「残量メーター」や「重さ表示」を確認し、空になっていないかチェックします。
- 不明な場合や、明らかに軽い場合は、ガス販売店・業者への連絡も早期復旧につながります。
また、容器の交換直後はメーターの復帰操作(プロパンガスメーターにも復帰ボタンがあります)が必要なこともあるため、ガス業者からの注意事項を事前に確認しましょう。
給湯器のエラー表示番号で分かる異常の種類
給湯器には異常発生時にエラー表示番号(エラーコード)がリモコンや本体パネルに表示される機種が多くあります。このエラー表示は、故障箇所やトラブルの内容を特定するための重要な手がかりとなります。メーカーごとにコードの意味が異なることも多いため、正しく原因を理解し、必要な対処を取ることが大切です。ここでは主な給湯器メーカーであるノーリツ・リンナイ・パロマなどの代表的なエラー番号や、その内容と初期対応方法について詳しく解説します。
ノーリツの代表的なエラー表示と対処法
ノーリツの給湯器でよく表示されるエラー番号から主な異常内容と一般的な対応方法を、以下の表でまとめます。
エラー番号 | 原因 | 初期対応・対処法 |
---|---|---|
11 | 点火不良 | ガスの元栓やメーターを確認し、閉まっていないか・ガス遮断されていないか確認。一時的な不具合なら電源入れ直しも有効。解決しない場合は専門業者へ連絡。 |
12 | 失火 | ガス切れ・ガス圧低下、給排気口の閉塞が疑われるため、安全確認後本体のリセットを実施。改善しない場合はメンテナンスを依頼。 |
14 | 給排気異常 | 給排気口が塞がれていないか、周囲に障害物が無いか確認。異物の除去で改善しない場合は業者へ。 |
90 | 給湯器本体の寿命や基板異常など | ご自身では対処不可。早急にノーリツや設置業者に連絡。 |
他にも60番台や71番など多数のエラーがあります。取扱説明書に一覧が掲載されていますので、エラー番号が表示された場合は速やかに対応マニュアルを確認しましょう。
リンナイの主なエラー表示と対応方法
リンナイ製給湯器では、エラー番号ごとに意味と対策方法が細かく設定されています。主なものを示します。
エラー番号 | 原因 | 初期対応・対処法 |
---|---|---|
10 | 給湯系統異常(断水・凍結等) | 水道の元栓や断水、凍結の有無を確認。問題がなければ一度電源オフしてリセット。 |
11 | 点火失敗 | ガスメーター・ガス栓が閉まっていないか、プロパンの残量は足りているかをチェック。再点火しても治らなければ業者へ。 |
14 | 給排気異常 | 排気口や吸気口が塞がれていないか周囲を点検。異常なければ電源再投入、それでもダメなら修理相談を。 |
90 | 本体の部品不良、経年劣化等 | 自力での修理はできないため、メーカーや施工業者へ必ず連絡。 |
エラーの内容によっては火災や一酸化炭素中毒等、重大な事故につながる場合もあるため、安易なリセットだけに頼らず、取扱説明書やメーカーの指示を守りましょう。
パロマなど他メーカーのエラー例
パロマや長府製作所など、給湯器メーカーごとにエラー番号の内容や対策も異なります。代表的なパロマのエラー表示例を下記にまとめます。
エラー番号 | 原因 | 初期対応・対処法 |
---|---|---|
05 | 給湯温度設定異常 | リモコンの温度設定や操作方法を確認し、異常時は再設定やリセットを実施。 |
10 | 給水・給湯系統異常(断水・水圧不良) | 断水や水道元栓、または水圧不足を点検。問題がなければ電源を切ってしばらく待つ。 |
11 | 点火不良 | ガスの供給圧やガスメーター、ガス栓の開閉状態を確認。改善しない場合は業者に相談。 |
88 | 経年劣化(交換推奨) | 使用年数10年以上なら交換を検討。安全のため専門業者に連絡。 |
エラーコードの意味や対処法はメーカー・機種ごとに異なるため、不明な場合や対処に不安があれば、すぐに取扱説明書やメーカー公式サイト、もしくは設置業者へ問い合わせてください。
給湯器のエラー表示は、給湯器からの重要な警告サインです。安易な自己流の修理や分解は絶対にせず、少しでも異常が解消しない場合や安全上の不安があれば速やかに専門業者を手配しましょう。
自分で対処してはいけないケースや注意点
給湯器の不調やトラブルの中には、ご自身での対応が禁物なものや、きわめて危険なケースがあります。安全を守るため、以下のような症状や状況の際には、すみやかに専門業者やメーカーのサービス窓口へ連絡しましょう。
異音やガス臭がある場合
給湯器本体や配管、周囲から「ゴーッ」「カタカタ」「バチバチ」といった異音がする場合や、明らかにガスの臭いがする場合は絶対に自分で対処しないでください。無理な操作や確認を行うと、ガス漏れや爆発、火災ノ危険があります。
症状 | 推奨される対応 | 注意点 |
---|---|---|
ガス臭がする | ガスの元栓を閉め、すぐに換気した上で、 ガス会社や管理会社へ連絡 | 換気扇や電気のスイッチ操作は避ける |
異音がする | 即時に電源OFF、ガス元栓OFFにし、専門業者に点検依頼 | カバーを開けたり、本体に触れない |
漏水や漏電の疑いがある場合
給湯器や配管の周囲に水たまりができていたり、ヒューズが頻繁に落ちるなどの漏電が疑われる場合は、感電や火災の恐れがあるため、自己判断で修理や確認を行わないようにしてください。
状態 | 行うべき対応 | 注意事項 |
---|---|---|
水漏れ(本体・配管) | 水道元栓を閉め、 速やかに修理業者へ連絡 | 水たまりに近づかない、裸足で触らない |
漏電の疑い | ブレーカーを落とし、専門業者に依頼 | 自分で分解・開封しない |
専門知識が必要なケースや無理な分解・修理
給湯器はガス、水道、電気などが複雑に関わる精密な機器です。
無理な分解や、自身での部品交換をしてしまうと、重大な事故やメーカー保証の無効化につながります。高度な知識や資格が必要な作業は、かならず専門の有資格者による判断・修理を依頼しましょう。
やってしまいがちな自己判断のリスクについて
インターネットやSNS上には多くの自己修理法が掲載されていますが、不適切な対処がさらなる故障や事故の原因となる場合があります。目に見えるトラブル以外にも、配線や燃焼部、センサー類など目に見えない不具合が潜んでいることもあるので、自分で直せると判断せず、危険や不安を感じた際は、すぐに専門家への相談を優先しましょう。
給湯器の修理・交換を依頼すべきタイミング
給湯器が動かない場合、簡単な初期チェックやリセット対応で復旧することもありますが、状況によっては専門業者への修理・交換依頼が必要になることがあります。以下のようなケースでは、無理な自己判断を避け、速やかにプロへの依頼が推奨されます。
症状・状況 | 推奨される対応 | 備考 |
---|---|---|
エラーコードが解消しない、頻繁に出る | メーカーや専門修理業者に連絡 | 取扱説明書の指示通りに操作しても解消しない場合 |
本体から水が漏れている、もしくは漏水の痕跡がある | すぐに使用を中止し、修理・点検を依頼 | 水漏れが続くと建物損傷や感電などの危険あり |
給湯器周辺でガス臭を感じる または、異音が発生している | 即時にガス供給元・ガス会社へ連絡し、安全確認 | ガス事故防止のため、触れず避難も検討 |
使用年数が10年以上経過しているうえ、故障や不具合が出ている | 修理よりも交換の検討を推奨 | 部品供給終了や経年劣化が進行している場合が多い |
電源プラグやブレーカーに異常が見られる | 感電の危険があるため、すぐに専門業者へ相談 | 無理な操作や自力での修理は厳禁 |
修理や点検を依頼する際の流れ
給湯器の修理や点検を依頼する際は、以下の流れで対応するのが一般的です。
- メーカーのサポートセンターまたは購入先、ガス会社に電話や公式サイトで連絡。
- 症状やエラーコード、型番、設置年などを伝える。
- 業者による訪問日時の調整・確定。
- 現地での点検・診断後、修理か交換かの判断を受ける。
必要に応じて見積もり。 - 部品交換や新規給湯器の設置など、具体的な作業の実施。
ご自身で行える範囲を超えた故障や異常は、必ず有資格者による点検・修理を受けることが大切です。万一に備え、型番やエラーコードを記録・伝達しておくと対応がスムーズになります。
保証期間や購入時の書類の確認
メーカーや販売店によっては、給湯器に保証期間が設けられています。購入からの経過年数や、保証書・販売証明書を事前に用意し、業者やメーカーに伝えることで、保証対象内であれば無償修理や部品交換を受けることが可能です。
また、設置日や施工店の連絡先が記載された「点検済証」「設置証明書」も一緒に用意しておくと、トラブル時の対応がよりスムーズになります。
長期保証プランや延長保証契約に加入している場合も、証書や契約内容を必ず確認してください。保証が切れている場合、修理費や交換費用の事前見積もりをとったうえで納得してから依頼することをおすすめします。
まとめ
給湯器が動かない場合、ガスや水道の元栓の確認、リモコンのリセットなど初歩的なチェックで解決することも多くあります。異常な音やガス臭、漏水があれば無理に対処せず、ノーリツやリンナイなどメーカーや専門業者への相談が安心です。的確な判断で安全に給湯器を使いましょう。